研究紹介

主な研究テーマ

  • 金属核数・原子配列・分子サイズが精緻に制御された金属集積体(クラスター)の開発と機能発現
  • 鋳型となる有機化合物の合成とそれらを用いた金属クラスター分子の精密鋳型合成
  • 遷移金属クラスターの触媒機能開発、機能性材料としての応用
  • 遷移金属と典型元素の協働作用を活かした機能性錯体・クラスターの開発
  • 研究概要

    1. ナノサイズの金属化合物は、サイズ効果に基づく特異な性質を有するため、次世代を担う機能性化合物として多くの分野からの注目を集めています。本研究室では、所望とする機能の発現に最適なサイズ・構造・金属原子配列を持つ金属集積体(クラスター)の精緻な設計・合成法として新たに「鋳型合成法」を開発し、この手法を利用した様々な金属クラスター分子の開発と、それらの触媒として応用などの多彩な機能開拓を目指しています。
    2. ケイ素などの典型元素を配位子として遷移金属に導入する事で、典型元素/遷移金属の協働作用に基づく非常に高い反応性を示す錯体の合成が可能です。当研究室では、典型元素と遷移金属を併せ持つ錯体・クラスター分子を独自の手法により合成し、それらを触媒として利用した物質変換法の開発を行っております。特に鉄などの第一周期遷移金属化合物に注目し、これらを触媒として用いることで、貴金属に依存しない資源・環境・エネルギー問題の解決に資するプロセス開発を目指しています。

    研究事例

    図1 環状ケイ素化合物を鋳型とする世界最大のPdナノシート分子の合成

    折れ曲がった平面状構造を持つラダーポリシランを金属を集積する鋳型分子として用いることで、計11原子のPdが折れ曲がった平面状に集積された世界最大の金属ナノシート分子の開発に成功しました。

    図2 4原子のPdを平面状に配列し機能最大化

    Pdはアルケンなどの水素化触媒として代表的なものですが、通常は数百原子以上のPdが集積したPdナノ粒子を触媒として用いる必要があり、1つのPdからなる単核錯体は低活性であることが知られていります。我々が鋳型合成法により開発したPd4クラスターは、アルケンの水素化に対し高活性触媒として機能し、わずか4原子でも、適切に配列すればPdナノ粒子に匹敵する高活性を示すことを見出しました。

    図3 ゲルマニウム水素化物を水素キャリアとする鉄触媒による省エネルギー水素発生・貯蔵法

    水素は次世代エネルギーとして有望です。水素を効率的に活用するには省エネルギーで水素を貯蔵できる技術が求められています。我々はゲルマニウム水素化物を水素キャリアとして用い、鉄触媒により、常温での水素発生、0 oC、常圧での水素貯蔵が可能な、新しい水素貯蔵法を開発しました。

    図4 Zn-Zn相互作用を利用した可視光応答性亜鉛二核錯体の構築

    亜鉛は可視光応答を示さない金属であることが教科書事実として知られてきました。我々は、亜鉛二原子間に働く空軌道の相互作用を適切に利用する分子設計により、可視光吸収を示す亜鉛二核錯体の創出に成功しました。 詳細はこちら

    連絡先

    東京大学
    生産技術研究所
    持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター
    物質・環境系部門
    機能性金属クラスター科学分野
    砂田研究室

    〒153-8505
    東京都目黒区駒場4-6-1 Fe-604号室 Tel: 03-5452-6361
    sunada(at)iis.u-tokyo.ac.jp
    [(at)を@にして下さい]